(知事)
本工事をやりながら、いろいろ出てきた問題を考えるというのは危険です。ですから、協定を締結してからということですね。ともかく全量戻すということは、約束されてますけど、戻し方も問題ですよね。それからまた、全量戻すといっても、水脈は伏流水として地下水になって流域を潤してるわけですね。
ですから、そうした地下水に依拠してる、例えば焼津だとか藤枝とかですね、そうしたところ、中下流域ですね、ここに悪影響が出た場合にどうするんですかと。これはもう文字通り産業とか生活とか、文字通り命に関わる問題です。
私なんか心配しているのは、飛行場が全部干上がってしまったらどうするんだとか、お茶畑が全部干上がってしまったらどうするんだとか、おいしい磯自慢が飲めなくなったり、サッポロビールが飲めなくなったらどうするんだと、喜久酔が飲めなくなったらどうするんだと、志太泉が飲めなくなったらどうするんだと。そういう人たちは、そこで営業してる人たちにとっては、もうまさに死活の問題で、先祖様に申し訳ないとかということがあるでしょう。
ですから、そういう心配をちゃんと受け止めていただいて、そこでもしも水脈が切れて、地下水の枯渇に至ったといった場合どうなさいますか。こういうようなことは、ちゃんとあらかじめ聞いとかないと。原因と結果はっきりしないから自分で調べなさいなんて言われたら、もうこれはもう大変なことです。ですから、流域に関わる安心を確保するために、どういう対応されるのか。これ何もしなければ、もう全然損害出ないわけですから。
したい、する以上、いざ悪影響が出た場合にどうするかということについて、きちっと協定で文書化して、オープンにして、誰もに分かるようにしてからでないと工事はできないということです。
それから2027年というのが、皆さまご案内のように工事というのは自然相手ですから。例えば中部横断自動車道、本来ならば、今富沢からそこでどうですか、南部ですか、南部の道の駅の所まで、もうこの夏にでき上がってなくちゃいけないんじゃないですか。だけど、まだ通れませんね。
どうしてでしょうか。それはがけ崩れといいますか、土が落ちてくるというような、それをきちっと壁面を固定しないといけないということで時間がかかるので、また延びるということです。そもそも、本来ならば1年半とか前にできてなくちゃいけませんけど、まだ南部からどこでしたかね、下部温泉早川まで、これまだ延びてますよね。
ずっと延長し、何が出てくるか分かりません。そうすると、自ずと工事期間延びますね。
それから何か岐阜でもウランが出たとかね。他の重金属、例えばヒ素とか水銀とか鉛とかは出たと。それどう処理するんですかと。処理ができなければ、工事進められないですよね。ですからそういうものなので、なるべく早くということで十分だと私はそういう意味で言ってるわけですね。だから何か2027年が宿題で、2027ページまで全部読んでからしか駄目だとかっていうのと違いますからね。それは常識的なことで申し上げてるわけでありまして、別に反対してるってことでないんですね、なるべく早くするということで。私自身は、これは大阪から名古屋を通して、東京結ぶというのが、リニアの本来の役割です。全線開通が。
ですから、例えば、記者さんが東京から大阪に行きたいと。リニアができたと。しかし、名古屋までしか出来てないと。それで乗ったと。名古屋駅で降りたと。
さて、50メートル以上エスカレーターか何かで登って、それからまた改札を通って、それから新幹線の駅に着いて、また適当な時間の新幹線に乗って大坂に行くと。やりますか。名古屋に行く人なら別ですけども、それほとんど現実的じゃないでしょう。
ですから、もともとは全線開通ということが本来の目的だったわけですね、それを二期工事に分けられて、しかも二期工事に分かれた、名古屋大阪間というのは、もともと2045年だったじゃないですか。どうなりました。
「2045年までには」って言ったのが、知らぬうち2035年なったでしょ。フレキシブルなわけです。なぜかっていうと、工事費が、財投で入ったからですね。そういうことがございます。
ですから、いかに早くっていう意味では、いろんなやり方が考えられるであろうということで、そこは沿線各自治体、また国交省、JR東海さん、各事業体がお知恵を出し合って、この全線開通に向けていかに協力するかというようなことも、新しい課題になってきてると。
いずれにしても、あるいは地域に資するということと、それからやはり人の安全を脅かすとか、人の生活を奪うとか、生態系を台無しにするとか、SDGsの基本的にはわれわれはモデル県になろうと思ってるんですけども、それに対して齟齬(そご)をきたすとか、そういうことがあってはならないと。
しかも実質かつて国鉄だったわけですから。そうしたところが、我利我利亡者のようなことを言ってはならないというふうに思っておりますので、ここは工期延期を考えながら、徹底的に話し合いしつつ、なるべく早く全線開通に向けてわれわれも努力をし、皆さんからのお知恵を頂きながら、安心して大井川流域の方たちが生活や、産業につながるようにしたいと、こういう考えでおります。
(記者)
ありがとうございます。そうすると、つまり、東京大阪間の全線開通そのものが、開通を早めるということにおいても大きな観点であって、その2027年とか、限定された東京名古屋間というものにはこだわらないっていうのが、知事のおっしゃる腹案というか、持論ということでよろしいんでしょうか。これまで腹案があるというような、ちょっと言葉もあったものですから、そういうことに何か関係してるのかなと思っての質問なんですが。
(知事)
「万機公論に決す」で、広く会議を興していろんな人がいろんな意見を言えばいいと、私自身は個人的な意見、長く国土計画に関わってまいりましたし、そうした案はありますけども、それを押し付けるつもりは全くありませんので、だからリニア新幹線が国に及ぼす影響ですね。
そしてまた、今私は静岡県の観点から考えなきゃいけないと。例えばスーパーメガリージョンに対しては、例えば仮にですよ、停電になったと。
それが遇遇山脈の下だったと、真っ暗だと。非常口から出てくださいと、非常口は千メートル以上、直線でね。登れませんから、だからこういうのがあって、真っ暗な中を出た所はどこでしょうか。非常口ですと言ってるけど、非常口の所は山の中ですよ、皆。そこに出たとこで助かりますか、分かりません。ですから、非常口の考え方だって、もうスイスの人が聞いたらあきれるような話ですね。
南アルプスの所に非常口を設けて出られるようにしておくと。普通の人だけでも、ここ何階でしたっけ、2階か。知事室は5階ですけど、105段ぐらいあるんですよ。4階目まではサッて行きますけど、4階目から5階目、これどのぐらいあるだろう。30メートルぐらいですかね。それでも息が切れますよね。
ましてや千メートル級の坂道をずっと一貫して歩かせると、しかも出口は安全な所かっていうと、山中ですから。もうそういうことも考えますとね、これはもし事故があったら、スーパーメガリージョンは、闇の中の地獄行きのリニアになるかと思って。
それと考えを明確にする、それを対比するために私は、そういえば、南アルプスから北アルプスとか、あるいは越中おわら節にあるように、加賀の白山、越中の館山、駿河の富士山、三国一と。
これで三重山とかですね、これスーパーランドスケープリージョンじゃないですか。光の世界ですね。どちらに人は魅力を感じるでしょうかね。
ですから、もう一度国土について多くの方が考えるきっかけにもなってほしいと思います。実際、前回も全国知事会で、このことに関連しない県の知事さんが、「うちは新幹線すらない。高速道路すら知らない。何であんなところに大きな金を突っ込むんだ」と。「まずうちを助けてくれ」という、お名前を挙げてもいいわけですけども、本当に怒っている人もいました。ですから、もう一度国土について考えるきっかけを持てればいいなと思っております。
われわれは中部圏知事会とか全国知事会とか、中央日本四県サミットだとかですね、中央日本四県サミットというのは、新潟、長野、山梨、静岡というところですけれども、これも、フォッサマグナ山岳連合などと言ってるじゃないですか。糸魚川静岡構造線、こうしたものを私はスーパーランドスケープ、言い換えると絶景ですね、絶景リージョンと、こうした絶景リージョンを台無しにするようなことはやっぱりあってはならないというようなことはちょっと申し上げました、石井大臣に簡潔に。うんうんとうなずいてられましたね。
(記者)
ありがとうございました。 |